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書籍:小さな会社だから勝ち残る
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第7章 社員を活かす社長の心得


3 社長業は「一喜一憂」の繰り返し
    

大きな夢や、大きな経営目標を設定するほど、現実との間のギャップは大きく、当然ながら、やるべき課題は多くなります。
また、その課題に挑戦していくために、大きなエネルギーが必要になります。
しかし、現実は、大きなエネルギーをかけたからといって、必ずよい結果ばかりが得られるわけではありません。
「新製品が開発できた」、「新規の得意先ができた」…といった、よい結果とは反対に、「新製品でクレームが発生した」、「受注競争に負けた」、「期待していた優秀な社員が辞めていった」…など、さまざまな悪い結果があります。
このように、会社経営では、うまくいくときといかないときがありますが、ある時期は、うまくいくことが続いたり、また、ある時期は、うまくいかないことばかりが続いたりするものです。
平均すると、勝率は、10〜20%くらいかもしれません。
もちろん、どんなことでも、何回かの失敗を重ねてひとつの成功に至るわけですから、その途中過程の勝率は低くてもよいのです。
勝率は低くても、成功するまであきらめなければ、たとえ、勝率は、10%でも、成功率は、100%になります。
つまり、9回失敗しても、最後の1回が成功するのです。

しかし、このように勝率が低いと、がっかりとする回数は増えます。
大きな成功の喜びが、ぽつんぽつんとくるので、そのときには、今までのがっかりとした気持ちは救われるのですが、やはり、がっかりとする回数は減らしたいものです。
このときに、社員に八つ当たりをしたり、社員の悪口を言ったりすることは避けましょう。
失敗は、どうしても誰かの責任にしたいもので、一番直接的に不満をぶつけられる社員に文句を言いやすくなります。
しかし、このようなことがしばしばあると、徐々に悪い情報は、社長の耳に届かなくなります。
極端には、よい情報しか伝わらなくなったり、また、悪い情報はベールをかぶされ、よい情報に変えられて伝わり、そして、ある日突然、取り返しのつかない大失敗として露見されることになります。
そのような事態にならないようにするために、悪い情報の報告を、聞き流せる気持ちの余裕を持つこと、すなわち、「社長業は一喜一憂の繰り返し」であることを認めることです。
そのほうが、がっかりすることも少なく、かえって、結果がよくなるものです。

また、そのためには、「遠くを見る」癖をつけることも、ひとつの方法です。
たとえば、走っている電車の窓から、外の景色を見るとき、すぐ近くの景色を見ようとすると疲れます。
首をいつも左右に振らないと、景色を見逃すからですが、これは仕事のひとつの失敗に「一憂」して、がっかりすることと似ています。
電車のスピードが早くなるほど、そうなります。
特に、新幹線では、近くの景色を見ようとしても、ほとんど見ることはできません。
もし、変化の激しい近くの景色を見ることにとらわれていると、遠くの景色が見えずに、どこを走っているのかわからなくなります。
電車なら、レールの上を走りますから、目的地に着きますが、会社という電車は、どこに着くかわかりません。
近くの景色を見てはいけないというのではなくて、常に遠くの景色を見ていて、思う方向に進んでいれば、心を穏やかにしておくことが必要なのです。
そうすれば、「一憂」に対して、「平静」を保つことができます。

特に、変化が激しいこれからの時代において、大きな夢や経営目標を描くほど、それを達成させるために必要な心構えであると思います。



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