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書籍:小さな会社だから勝ち残る
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第5章 や経営者・管理者がつかむ経営数字


8 部門別につかむ「経営数字」
    

今までは、財務諸表や損益分岐点図、また、原価などから多くの経営数字を見てきましたが、ここでは、組織の各部門の役割から考えて、どんな数字をつかんでいけばよいのか、それぞれの部門ごとに、重要と思われる「3項目」を選びます。

まず、営業部門ですが、基本的な役割は、「利益のあがる売上高を増やし、お金の回収を確実にする」ことです。
利益のあがる売上高を増やすことについては、@売上高と利益率 の推移をみる必要があります。
売上高だけではダメです。
利益率を減らして、安易な受注をすることがないように、見積り段階や受注段階での利益率も同時につかんでおくことです。
できれば、製品別や顧客別に管理したほうがよいでしょう。
また、売上高を増やすには、既存顧客の受注増加とともに、新規の顧客開拓が必要です。
そこで、A新規顧客訪問件数や見積り提出件数 などの数字を見ることです。
もちろん、新規顧客の売上高をつかむことは必要ですが、新規顧客の受注は時間がかかるため、受注に結びつくに必要な訪問件数や見積り提出件数のほうが、営業行動に直結する管理ができます。
さらに、お金の回収という役割からは、得意先別や営業マン別に、B売掛金回収期間(売掛金÷月間売上高)を見ます。
売上高は増加しても、お金を回収できないことが一番怖いために、得意先の経営状態を見ておくことです。
支払いが遅れるようなことがあれば、その得意先の受注を減らすなどの処置が、すぐにとれるようにします。

生産部門の基本的な役割は、「よい品質の製品を、安く、お客様の希望する納期までに納める」ことです。
よい品質とは、お客様が求める品質で社内規格に定めた品質のことで、けっして過剰品質のことを言うのではありません。
そこで、@クレーム件数と社内不良率 を見て、両方の数字を低減することが必要です。
クレームが多くては、売上高は低下するし、社内不良率が高いと、コストアップや納期遅れにつながります。
安くということでは、A価値金額生産性 を見ます。
これは、売上高から材料費と外注費と経費を引いたものを、総作業時間で割ったもので、1人・1時間当たりの付加価値になります。
そして、お客様の希望する納期では、B納期遵守率 を見ます。
ここでは、営業が受注した納期を基準にします。
つまり、お客様と営業が決めた納期(もちろん製造部の了解のもとですが)に対して、何件の遅れがあったかです。
納期遅れが多いということは、生産管理がうまく機能していないことが多く、また、売上高が伸びない原因になったりします。

開発部門の基本的な役割は、「顧客ニーズが高く、利益率の高い製品を開発する」ことですが、そのために、既存製品の改良と新規製品の開発という、2つの方法があります。
製品開発では、スピードが大切なので、@製品開発速度 を見ます。
これは、ある期間(たとえば1週間)に進んだ、製品開発ステップの総合計です。
製品開発には、企画・研究・試作・量産という、4つの大きなステップがありますが、それぞれの開発テーマが、この段階をひとつ進めば1ポイントにします。
たとえば、手持ちの開発テーマが10あり、それぞれのテーマについて合計で1ヶ月間に5ステップ進めば、その月のポイントは5ポイントになります。
ここで、各テーマの売上高寄与度を想定し、それを加味した係数を設定して、加重合計をすると、将来の売上高を見込んだ把握ができて効果的です。
また、開発の進捗率という見方をすると、手持ちの開発ステップ数は、10テーマ×4ステップ=40ステップで、個々の10テーマが到達しているステップの数を合計して、たとえば、16ステップであれば、総合の進捗率は、16ステップ÷40ステップ=40%になります。
このような製品開発ステップの総合計や、総合の進捗率で管理していけば、開発の全体像を、的確につかむことができます。
また、A新製品の売上高寄与率 を見ます。
過去1年間に開発された製品の売上高が、1ヶ月間の売上高に占める割合ですが、その推移を見ながら、研究開発の効率や能力の過不足をつかみます。
さらに、開発した製品の初期トラブルを、できるだけ少なく量産へ移行することが大切なので、B初期トラブル発生件数 を見ます。
トラブルの絶対数や、開発した製品別の比率を計算すると、次の開発に活用できます。

最後に、管理間接部門では、次のような数字があります。
資材・購買部門では、@購買コストダウン金額 A外注品質不良率 B外注納期遵守率
など、総務部門では、@出勤率 A階層別社員教育実施率 B社員の定着率 など、また経理部門では、@予算実施率 A在庫回転率(製品・仕掛品・材料) B金融収支額 などがあります。

このような、各種の経営数字については、その管理目的をよく考えて、自社の経営に活きるように、数字をとる期間や精度を決めます。
あまりにも多くの数字をとるあまり、毎月の経営会議では、その報告が主体になり、フォローが不充分になっている会社を多く見受けます。
また、精度を追求しすぎると、手間ばかりかかります。
これらの経営数字は、定期的に見直し、自社の実情に合わせて適切な項目に入れ替えながら、出した数字は十分に活用することにしましょう。


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