本文へスキップ


書籍:小さな会社だから勝ち残る
SERVICE&PRODUCTS

第5章 や経営者・管理者がつかむ経営数字


7 「原価」の見方と活用方法
    

販売価格を決めたり、利益を増やす原価低減活動、また、年度の利益計画立案などの目的で、製品の原価を計算します。
その計算の基本は、製品の製造にかかる、材料費・人件費・経費の3つの原価を、製品単位や工程単位でつかむことです。
製品単位とは、1個当たりの場合や、ボルトやナットなどの小物製品では、100個当たりというように、製品のまとまりを、どのように見るかで変わってきます。
また、工程単位とは、生産工程や、原価低減を進めるグループ単位がよいと思います。
自社で使いやすい、製品単位や工程単位を、工夫して決めればよいでしょう。

ところで、原価には、利用目的によっていくつかの見方があります。
まず、販売価格を決めるために、個別原価や総合原価があります。
個別原価とは、造船・生産機械・金型など、個々の受注に応じて生産を行う受注生産の場合に、それぞれの受注物件ごとに、必要な材料費・人件費・経費などを合計して製造原価とする方法で、それにマージン(もうけ)を掛けて価格を決めます。
また、総合原価とは、家庭電気製品・自動車などの量産品の見込み生産の場合に、ある一定期間(たとえば半年間とか1年間)に発生した材料費・人件費・経費などを、その期間に生産した数量で割って、1個当たりの製造原価とする方法で、それにマージンを掛けて価格を決めます。
どちらの計算方法でも、材料費は製品ごとに簡単に計算できますが、人件費や経費は製品ごとに配分しなければならず、少し手間がかかります。
また、その配分の精度に疑問が残ることから、チャージレート(加工費率または賃経費率とも言われます)を用いて、計算を簡略化したりします。
  チャージレート=(人件費+製造経費)÷直接作業時間=円/分
人件費には、給料・賞与・福利厚生費など、製造経費には、建物や機械の償却費・工具消耗品・電力・水道代などがあります。
この場合、製造原価は、材料費+チャージレート×1個当たりの作業時間、になります。
チャージレートを一度算出しておくと、そのあとの使い勝手はよいものです。

次に原価低減のために、標準原価や原単位があります。
標準原価とは、日々の生産活動において目標とする原価で、標準的な、歩留まり、不良率、標準時間などを考慮して計算します。
この標準原価と、実際にかかった原価の差を分析して、原価低減の改善に活用します。
そのため、標準原価は、一定の周期で見直しが必要ですが、製品の加工工程が多いと、計算が大変です。
その場合は、原価低減に取り組む主要な原価の項目について、製品別や工程別に一定数量当たりの原価を計算した、「原単位」を用いた方が簡単でしょう。
たとえば、A製品の原料原単位(円/個)とか、H工程の電力原単位(kwh/個・またはkwh/時間)のように計算して使います。
電力原単位○○%ダウンというように、原価低減活動の目標値に使い、毎月計算して、その進み具合を確認することができます。

さらに、利益計画では、直接原価を使うと便利です。
個々の製品の生産に必要な、材料費や外注費などの変動費を直接原価とし、人件費や償却費などの固定費は、製品別には計算せずに、全製品に共通の原価とみる計算方法です。
そして、売価から変動費を引いたものを限界利益といい、売価に対する割合を限界利益率と言います。
  限界利益率=(売価‐変動費)÷売価
個々の製品について、限界利益率を計算し、それぞれの売価と販売計画数量を掛けて、期間の総限界利益を出し、固定費を引いて目標利益を計算します。
比較的簡単に計算ができること、また、実際に活用する上では、販売価格を検討するときの数字(閑散期でも、変動費以下での受注は必ず赤字になる)や、原価低減を行うときの数字(限界利益率を高める目標)に使うことができます。

このように、さまざまな原価の見方がありますが、その利用目的を考え、自社に使いやすいように工夫して、うまく活用して経営成績に反映させることが大切です。


←5章6へ →5章8へ




このページの先頭へ
 

株式会社アドバンス経営