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書籍:小さな会社だから勝ち残る
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第5章 や経営者・管理者がつかむ経営数字


6 損益分岐点図の簡単な作り方とポイント
    損益分岐点売上高」「変動費」「変動費率」

損益分岐点図は字の通り、損失(赤字)と利益(黒字)に分かれる売上高の分岐点や、売上高と利益の関係、また、費用についてのさまざまな情報を与えてくれます。
損益分岐点という考え方は、製品を、開発・製造・販売する費用には、製品の生産数量にに比例して必要な、材料費のような「変動費」と、生産数量によっては変わらない、人件費や償却費のような「固定費」の2種類があるために、ある一定数量を生産・販売しないと利益が出ない、ということが基本になっています。

たとえば、「1人の靴屋さん」を考えてみましょう。
靴の売価が1万円、1足当たりの革代などの材料費(変動費)が5千円、靴職人が一人で、人件費(固定費)が、1ヶ月に10万円とします。
1ヶ月に10足売れた場合には、売上高が1万円×10足=10万円、材料費は5千円×10足=5万円、人件費は10万円です。
そうすると、利益=売上高‐(材料費+人件費)=10万円‐(5万円+10万円)=‐5万円で、五万円の赤字です。
また、1ヶ月に20足売れた場合には、売上高が20万円、材料費は10万円、人件費は10万円で、利益=20万円‐(10万円+10万円)=0円 になります。
この場合は、収支トントン、つまり、20万円が損益分岐点の売上高です。
1ヶ月に21足以上売れると、利益が出はじめます。
もし、固定費である人件費が0円(こんなことはありませんが)とすると、1足売れば、利益=1万円‐(5千円+0円)=5千円になり、1足目から利益が出ます。
このように、売上高に損益分岐点が出てくるのは、費用に変動費と固定費の2種類があるからです。

損益分岐点図の作り方には、次の2つの方法があります。

@ 費用を、変動費と固定費に分けて総費用を計算し、総費用の線と売上高の線と交わる点を、損益分岐点にする方法です。
「1人の靴屋さん」の場合、変動費は5千円、固定費は10万円と簡単ですが、実際には、変動費と固定費に分解するのに、少し手間がかかります。
というのは、人件費でも、定時間内は固定費部分で、残業時間は変動費部分になるように、各費用の中身を検討して、2つの費用に振り分けていく必要があるからです。

A 年度決算、または、月次決算の数ヶ月のデータ(売上高・総費用・利益)を、グラフにプロットして、変動費・固定費・損益分岐点を求める方法です。
できるだけ月次決算のデータを使いますが、なければ、少し精度が粗くなりますが、過去数年の年度決算資料を使います。
Aの損益分岐点図の作り方は簡単な方法で、しかも、十分に活用することができます。

 Aの方法で、過去4年間の年度決算書に基づいて、損益分岐店図を作ると、次のようになります。

さて、この損益分岐点図から読み取る数字と内容は、次の3つです。

(1) 損益分岐点の売上高
 赤字を出さない売上高を必達することは、営業部門の基本的な役割です。
 この靴屋さんでは、先ほどの計算では、1ヶ月に20万円(20足)の売上高があれば収支トントンで、それ以上の売上高があれば黒字になりした。
 次式は、損益分岐点の売上高を、固定費と、変動費と、売価から計算する算式です。
  損益分岐点の売上高=固定費÷{1‐変動費率}
   変動費率=変動費÷売価
 「1人の靴屋さん」の場合、変動費率は5千円÷1万円=0.5で、損益分岐点売上高は、10万円÷(1‐0.5)=20万円になります。
 だから、1日1足以上販売することを目標にして、販売促進をします。
 
(2) 変動費と利益の関係
 この靴屋さんは、通常、1ヶ月に30足売っていて、利益が5万円あるとします。
   利益=売上高(30万円)‐変動費(15万円)‐固定費(10万円)=5万円
 ここで、改善によって、変動費を20%低減すると、利益は、
   利益=売上高(30万円)‐変動費(12万円)‐固定費(10万円)=8万円
になり、60%アップ(8万円÷5万円=160%)にもなります。
 このように、変動費の低減(原価低減)は、利益向上に大きく寄与します。
 
(3) 変動費率の推移
売上高に対する変動費の比率を、変動費率といいます。
この靴屋さんの変動費率は、変動費(5千円)÷売上高(1万円)=50%です。
この変動費率の推移を見て、下がり傾向なら、原価低減の改善や、お客様が求める製品に価値を高めて、売価を上げるという改善が、経営数字に反映されています。
変動費率が下がるということは、(2)の計算例のように、利益率が高くなることで、その結果、工場や設備投資を行うことや、社員の給料やボーナスを増やすことができます。


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