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書籍:小さな会社だから勝ち残る
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第5章 や経営者・管理者がつかむ経営数字


1 経営は「数字」をつかんで「活用」する

製品の開発・生産・販売を行う直接部門、また、それらを支援する管理間接部門、そして、すべての活動を最終的に統制する社長など、全社員の仕事の結果は、すべて数字にあらわれます。
だから、仕事がうまく進んでいるかどうかは、数字でつかんでおくことが必要です。
たとえば、販売関係では、顧客別や製品別の売上高と利益率、生産関係では、クレーム件数・不良率・製造原価・納期遵守率、また、開発関係では、新製品売上高寄与率と開発進捗率などです。
そして、共通の数字としては、生産性があります。

このような数字を、できるだけ短い期間でつかんでいると、その上下の実態と原因が明確になり、数字をよくするための対策を、タイムリーにとることができます。
数字は、毎日つかむのがベスト、次が毎週です。
毎月になると、結果の把握だけになってしまい、改善に活用しにくくなります。
できるだけ、今に近い数字でないと、変動の原因を追求することが困難で、たとえ見つけても、対策の時期を逃がすこともあります。
痛みを感じているあいだに、できるだけ早く対策することです。
毎日これらの数字を出すのは大変だ、ということもありますが、たいていのデータは、各部署や個人別の日報でとらえられています。
入力や計算に手間がかかり、まとめて作業をしようとするために、大変になっているだけなので、それが簡単にできるように、パソコンの活用が必要と思います。
たとえば、「日報はパソコンに入力して、紙の日報はやめる」、「バーコードなどを使って、入力をしやすくする」、そして、「入力された数字はパソコンで計算処理がされて、さまざまな経営数字に自動的に加工ができる」などです。

また、数字は、一覧表にして見るだけではなくて、グラフ(特に、折れ線グラフ)にすると、傾向や推移が一目瞭然です。
毎日、多くの数字を見て問題点を摘出し、その対策を行っていくとなれば、数字を読むのに時間をかけるわけにはいきません。
だから、グラフにするわけですが、さらに進歩させて、数字がある上限や下限を超えたり、変化率がある数値以上になれば、パソコン上のグラフで警告を発するというようなシステムも効果的かと思います。
その「経営数字」の活用方法を、3つあげます。

(1) 数字が変動する原因をつかみ、よい原因はさらに伸ばし、悪い原因はそれをなくすような、「処置」と「対策」をとります。
 これは当たり前のことですが、数字をつかんでいるだけとか、また、処置だけで対策はなし、ということも多いようです。
 処置とは、起こった問題に対する処理で、対策とは、同じような問題が、将来、2度と発生しないようにすることです。
 たとえば、クレームが発生したとき、得意先に行って対応をすばやく決めたり、また、被害が広がらないようにすることが「処置」で、同じ原因で同じクレームが、将来、2度と発生しないようにすることが「対策」です。
「処置」よりも「対策」のほうが大切なことは、言うまでもありません。
 毎日のこのような管理は、「日々管理」といって非常に大切です。
 日々の小さな改善は、経営改善の基本で、その効果は絶大です。

(2) 数字の傾向をつかみ、経営改善のテーマ設定に活用します。
 数字を、対前年比や対前月比などの比率でつかんで、その傾向を見ると、上昇傾向や下降傾向、あるいは、停滞などの状況が読み取れ、改善テーマの設定ができます。
 たとえば、A製品のK得意先での売上高が低下傾向であれば、「A製品の売上高増大」を、また、B製品の利益率が低いと、「B製品の原価低減」を改善テーマに設定します。
 品質や納期についても同じです。
 このような、少し長い期間で徐々に変化している数字には、(1)の日々管理で発生する問題の原因よりも、もう少し複雑な、構造的な原因があることが多いので、きっちりと改善計画を立てて取り組みます。
 もちろん、テーマの設定は、数字の傾向が読み取れたら、できるだけ早くするほうがよいことは当然です。

(3) 社員の業務の目標値に使い、その進捗を把握するとともに、成績評価と年俸査定に使います。
 たとえば、半年俸制度を行っていて、4月から9月を上半期とした場合、3月に、上半期に行う業務とその目標値を決めます。
 そして、4月から、その実施内容と、目標への到達状況を数字でチェックするのです。
 最終9月に、過去6ヶ月間の成果を評価し、これからの下半期6ヶ月間の目標設定を行って、下半期の半年俸を決めます。
当然、この評価は、社長も含めた全社員について行います。

このように、多くの場面で、経営数字を活用することができます。
そして、それぞれの部門の管理者が管理する数字と、社長が管理する数字とに分け、きっちりと役割分担をして活用していくと、効率的な経営の管理ができます。

しかし、この数字を活用する上での注意点があります。
まず、数字は結果であるということです。
たとえば、不良が増えたという数字の変化の前に、不良が増える原因が、現場の中に生じています。
本来は、不良という数字になってあらわれる前に、原因を取り除く(発生させない)ことが大切です。
そうしないと、「死亡報告書」になってしまいます。
売上高などの低下も同じです。
売上高が低下する原因を、売上高が低下する前に見つけ出して、未然に予防しておくことが大切です。
そのために必要なことは、製造の現場、販売の現場、開発の現場、事務の現場を、必ず自分の目で見て歩くことです。
注意していると、多くの小さな問題点が見つかり、事前に改善することができます。
このような数字によるチェックと、現場を五感でチェックすることを並行して行えば、大きな問題発生はなくなります。
ただし、数字のまちがいがないようにしておくことが大事です。
数字がまちがってカウントされたり、まちがって入力計算されて、問題に気づかなければお手上げです。
パソコンからアウトプットされた帳票や数字は、なぜか信用しやすいものです。
数字は正直です。
上手につかんで、経営にうまく活用しましょう。


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