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書籍:小さな会社だから勝ち残る
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第4章 やる気を高める社員の評価


4 「年功の評価」より「成果の評価」

日本的経営のひとつに、年功序列制度がありますが、これは、過去の高度成長時代から使われてきた、社員を評価するときの基準で、昇給や昇進に活用する労務管理制度です。
すなわち、入社してからの勤続年数が、「仕事ができる能力」の大きさで、その大きさに比例して、仕事の成果も高くなるという考え方です。
この考え方がうまく成立するには、3つの条件があります。

(1) 会社が成長期にあり、昇給の原資や昇進のポストが十分に用意できる。
 社員は、昇給や昇進を目標に働きます。
 それらが年功の評価であったとしても、定期昇給や定期昇進が、ほぼ確実に保証されているときには、安心感や会社に対する信頼感・帰属意識が増して、一生懸命に働きます。
 しかし、昇給の原資や昇進のポストがなくなると、若くて優秀な社員は、年功序列制度ではなかなか自分にまわってこないと考えて、働く意欲を失います。

(2) 会社を取り巻く経営環境の変化が緩やかで、過去の仕事経験が長いことが、仕事がうまくできて、成果に比例すると考えられる。
 仕事には、経験が必要である面と、反対に経験が邪魔になる両面があります。
 仕事に経験がプラスになるのは、ほとんどの仕事は繰り返しの仕事であり、何回かの経験を通じて、上手に仕事ができるようになるからです。
 仕事が1時間単位の繰り返してあれば、何時間かでその仕事を覚えることができ、1日単位の繰り返しであれば、何日間かで覚え、また、1ヶ月単位の繰り返しであれば、何か月かで覚えます。
 管理者の仕事も、長い仕事でも、1年間の繰り返しですから、2〜3年あれば覚えられます。
 このような面で、仕事にはある程度の経験が必要です。
 一方、経験が長くなるということは、過去に覚えたやり方と同じ方法で、これからの仕事をしていくことが多くなり、経営環境に合わせて仕事のやり方を変えていく「業務改善」に対しては、マイナスに働きます。
 この経験のマイナス効果は、周囲の変化が緩やかであればまり目立ちませんが、変化が急速になると、会社経営において、大きく足を引っ張るようになります。

(3) 途中入社の社員が少なく、人の入れ替わりが少ない。
 新卒で入社してから、業務や成績について長期の履歴があれば、年功序列の評価も大きく外れませんが、途中入社の社員やパート社員などが増えてくると、その人たちの過去の実績がわかりません。
 以前の会社で、優秀な成績を上げたにもかかわらず、年功序列制度を運用すると、仕事のできないベテラン社員との間に、アンバランスが生じることになります。
 また、人の入れ替わりが多いと、年功の評価のしようがありません。

現在、ほとんどの会社では、これら3つの条件に合わなくなっています。
また、これからの経営環境も、年功序列が成立しない方向に向かうと考えられます。
だから、できるだけ速やかに年功序列制度を廃止し、仕事の成果で社員を評価・処遇する、「成果制度」に移行していくことが賢明と思います。

年功序列が、「人の勤続年数」を中心に評価するのに対して、成果の評価は、「会社に与えた業績」を中心に評価します。
いくら年功があり、また、能力があっても、さらに、いくら頑張って努力しても、それが、会社の業績という結果に寄与しなければ、評価は低いのです。
会社自体も、この経済社会ではすべて結果だけで評価されます。
顧客が望むよい製品を、安く、タイムリーに提供できる会社だけが高く評価されます。
つまり、たくさん買っていただけるのです。
結果がすべてというは、スポーツなどのプロの世界とまったく同じです。
プロの世界では、全員が死に物狂いで技を磨きます。
そのようなプロの意識を、「成果の評価」を行うことにより、社内に持ち込みたいものです。


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