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書籍:小さな会社だから勝ち残る
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第3章 社員の成長が会社の成長


3 社長と管理者と一般社員の「規制」

会社の組織を縦に見ると、社長と管理者と一般社員の3つの階層に分かれますが、それぞれの立場で、仕事をするときの規制、すなわち、ある種の制約条件や、基本的に守るべきことがあります。

まず、一般社員には、「時間」の規制があります。
最近は、裁量労働制を一部の職種に採用して、時間の規制をはずしている会社もありますが、ほとんどの一般社員は、時間で規制されています。
だから、始業時間には、仕事ができるように机や作業位置について、終業時間まで仕事をしなければなりません。
また、タイムカードがあり、遅刻・早退・欠勤・残業などの時間に関することが、仕事の目標達成度以上に評価されます。
そのため、会社の目標よりも、「時間だけは守る」という意識が強くなりがちです。

また、管理者は、時間の規制は少なくなりますが、「現状維持」の規制があります。
すなわち、自部門の仕事にトラブルがあってはダメなのです。
営業部門では、既存の顧客の注文が減ったり、製造部門では、納期遅れや不良やクレームが出ると、その管理者の評価は悪くなります。
こうならないように、また、トラブルを最小限にするように、管理者は自部門をガードしますが、それが過剰になると、「組織のセクショナリズム」が発生します。

社長には、基本的には規制がありません。
あえて言えば、利益を出し続けることが規制(目標)であり、それが実現できている場合には、社内には一般的な規制はありません。
それどころか、社員に対して規則を作る立場にあります。
社長の場合は、このように、「規制=利益を出し続けること=会社の目標」になっているので、すべての気持ちを目標達成に向けて仕事をすることができます。
しかし、一方では、自分だけに有利な規則を作り出して、社員に疑問の目を持たせたり、社員の仕事へのやる気をなくさせたりします。
つまり、一生懸命に利益を稼ぎだすという仕事をする反面、ときには、規則に縛られないことから、暴走することにもなりかねます。

このような、社長・管理者・一般社員の規制がうまく運用されて、会社の利益を高めることにつながれば問題ないのですが、通常は、それぞれの身近な規制にとらわれます。
一般社員なら、就業時間が過ぎれば仕事は終わりで、あとは遊びの時間という意識、また、管理者は、自部門で問題が出なければ、あとは他部門の悪影響が及んでこないように他部門の問題点を指摘すればよいという意識、社長は、利益が出ている限り自分が規則である、すなわち、儲かっていれば何をしてもよいという意識になりがちです。
このような意識が社内に蔓延すると、会社が利益を出すという目標にブレーキをかけることになります。
そして、特に、管理者や一般社員は、会社目標を達成するための規制であることを忘れ、規制を目標と勘ちがいして仕事をするようになるため、会社目標の達成に支障をきたすことにもなります。

こうならずに、会社目標を達成し、仕事を通じて社員の能力を伸ばすためには、それぞれの立場で、うまく「目標と規制を理解・共存」させることです。
たとえば、一般社員に対しては、会社目標を常に自覚させながら、時間はそれを達成するための手段であることを徹底します。
ということは、時間の使い方は、社員に任せることです。
社長や管理者で、社員の時間の使い方に目を見張っている人は多いのですが、つまり、手待ちの時間がないように仕事を与えたり、少しの雑談も注意したりしますが、目を離すと、けっこうムダに時間を使っているものです。
そうではなくて、社長や管理者が、目標に目を向けていると、時間の効率的な使い方は、社員それぞれが自分で考え出します。
社員が各自の目標を達成して、それでも時間が余っているように見えるときは、目標を高めるか、別の目標を与えればよいのです。

また、経営者は、管理者と、それぞれの部門の問題討議をするだけでなく、「会社全体の利益をどう稼ぎだすか」といった観点から話し合っていると、管理者は、自部門の問題や課題を、会社全体の目標の中で考えるようになります。
つまり、管理者が、経営的な観点で行動ができるようになり、大きく成長するのです。

さらに、社長自身も、自ら社内で守らねばならない規則や目標を作り、他の社員と同じ土俵にいることを、全社員に気づかせることも大事です。
たとえば、営業社員などがつけている日報と同じように、社長の仕事を毎日日報につけて、公開することもひとつの方法です。
これは、社員への大きな動機付けになるとともに、社長自身も自分の仕事がこれでよいのかという反省材料にもなり、社長の成長につながります。

ある会社では、社長も含めた全社員の毎日の仕事内容を、パソコンを使った社内ネットワークで全社員に公開しています。
その結果、多くの社員にいろいろな質問や提案が寄せられて、それぞれの仕事のレベルアップが図られ、会社の活気が高まってきています。


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