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書籍:小さな会社だから勝ち残る
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第2章 組織力の効果的な高め方


4 組織の「自己保全化」と「自己肥大化」を防ぐ「自己革新組織」

組織を作ったときには、よい組織であっても、ほっておくと、自然に、「自己保全組織」や「自己肥大組織」になります。
組織は、会社の目標を達成するためにあるのですが、「自己保全組織」は、各部門の社員が、自分たちの部門の立場や利益だけを守る組織です。

そのようになる理由のひとつは、会社の目標よりも、各部門や個人の目標が優先されやすいからです。
これを防止するためには、社員を評価するときに、会社目標の達成度を第一優先に、個人目標の達成度を第2優先で評価ができるように、評価の方法を工夫します。
たとえば、「売上高」の確保は営業部門の目標で、「利益率」の確保は会社目標になりますから、営業部門の評価は、売上高と利益率で行います。
そして評価は、会社目標の「利益率」を第1優先にします。
営業部門の目標である「売上高」が、いくら目標達成をしていても、「利益率」の目標が達成できなければ、評価は低くします。
そうすると、製造原価や経費にも気を配ることになり、他部門と協調した行動をとるようになります。
また、購買部門の目標はコストダウン額ですが、評価は、会社目標である製品品質、または、納期遵守率を第一優先にします。
材料を安く買うだけでは、購買部門の評価は高くならないのです。
材料を安く買い、さらに、製造部門と上手な連携ができて、製品の品質向上や納期遵守という、会社目標の達成に貢献した場合、評価が高くなるようにするのです。

自己保全組織になるもうひとつの理由は、社員の職場異動が少なくて、同じメンバーで、同じ仕事を長くしている場合です。
新しい仕事を与えられると、はじめのうちは、その仕事の方法を必死になって覚えようとして、多くの情報を吸収します。
そして、一般的な仕事の方法を覚えると、次は、自分に適したやりやすい方法に変えようと改善をします。
こうして、自分が満足するレベルの仕事になったら、そこで改善は終わり、あとは、状況が変わっても、自分の仕事のやり方を守り続ける、自己保全の状態が完成します。
このように、社員と仕事の関係は、「吸収」→「改善」→「保全」という3つの経過を進みますが、これは、どんなに優秀な社員でも、そのようになります。
そして、多くの社員が、「保全」という状態になると、自己保全組織になります。
だから、仕事の改善が行われなくなる、「保全」という段階にいかないように、組織の再編成や人事異動、さらに、仕事の変更などが必要です。
その頻度や期間は、先ほどの、「改善」の段階が済んでからがベストです。
企業を取り巻く経営環境と、組織の保全化進行の状況を把握しながら、組織に新風を吹き込んでいくことが大切です。

一方、「自己肥大組織」とは、会社を取り巻く経営環境とは無関係に、自らの都合で徐々に大きくなる組織です。
そのようになる理由のひとつは、社員は仕事が暇になると、「暇を埋める」仕事を作り出すからです。
たとえば、品質管理部門の人が、品質をよくするための、データ収集や分析をするのならよいのですが、暇になると、上司から質問されたときに答えられる、「防御資料」や、「自己満足資料」を作ったりするようになります。
これは、非常に大きな損失になります。
しかも、ほとんどの場合、他の人たちに協力してもらわないとできないし、その協力する人たちも、その仕事は会社のために役立つと思っています。
つまり、品質向上に役立っていると思い込んでデータを作るのですが、こういったことが積み重なって、どんどんと人が増えていくのです。
これを防ぐには、グループや個人に、価値のある多くの課題を与えたり、また、必要最小限の人数に少なくして、常に、十分に忙しい状態にしておくことです。
価値のある課題には、トップダウンの経営改善や、ボトムアップの経営改善などがあります。(これについては後述します)

自己肥大組織になるもうひとつの理由は、責任が不明確になり都合がよいからです。
ひとつの仕事を細分化し、より多くの人が分担したほうが、個人の仕事の出来映えが目立たなくなります。
当然、よい仕事を行っても目立たないため、よい仕事をする意欲がなくなり、また、悪い結果でもその責任が薄まるため、反省も少なくなり、どちらの場合にも、会社目標の達成にはよくありません。

会社目標の達成には、このような「自己保全組織」や「自己肥大組織」ではない、「自己革新組織」が望まれます。
 「自己革新組織」とは、社員の能力が常に向上している組織を言います。
社員の能力は、ほっておくと確実に低下していきます。
なぜなら、人は勉強が嫌いだからです。
その面白さを見つけ出した人には楽しいことかもしれませんが、そんな人はまれです。
だから、人が勉強して伸びる「場や材料」、伸びなければならない「厳しさ」、伸びることの「メリット」を、明確に与えることが必要です。
伸びる場や材料とは、新たな部署や仕事、トップダウンやボトムアップの経営改善の課題、また、改善のリーダーになったりすることです。
つまり、「挑戦できる環境や対象」の提供で、これを与えられなくて伸びることができない人、特に、優秀な人で、持てる能力を発揮できない人が多いのは残念です。

伸びなければならない厳しさ、これは行動することへの厳しさで、これが欠如する会社を多く見受けます。
まちがいの厳しさに、「他人への責任追及の厳しさ」があり、それを「自分が行動しない理由」にしている場合があります。
たとえば、「営業が、標準納期より短い受注ばかりするから、生産性が改善できず納期遵守率も悪くなる」といったように、営業部門には厳しく、自部門は完全と思っている製造部門、これは責任転嫁です。
他部署(営業部門)の責任追及で、自部門(製造部門)の行動を抑制しています。
それを言わせない、認めない、組織の厳しさが必要です。

また、能力が伸びることのメリット、これは能力が伸びて仕事で成果を残したときに公正に評価されて、それが待遇に反映されることです。
しかし、一般的に、伸びる人には風当たりが強くなります。
伸びる人を見習って、自分も伸びたいという気持ちよりも、伸びる人に対するねたみのほうが、どうしても強く出てきます。
そして、足の引っ張り合いになるわけですが、必要以上にねたみを発生させない工夫が必要です。
たとえば、形式的な表彰、名前だけの地位、たてまえだけの誉め言葉は少なくして、実質の昇給やボーナスに反映します。
社長は、優秀な社員を誉めるために、全社員を一堂に集めて大々的に表彰などをしたくなりますが、ぐっとこらえて、その人に対する風当たりを少なくしてあげ、さらによい仕事をしてもらうようにすることも大切です。


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