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書籍:小さな会社だから勝ち残る
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第2章 組織力の効果的な高め方


2 セクショナリズムを防ぐ  「会社目標の徹底」と「情報の社内流通化」

働いている社員を見たときに、その中の何人が、会社の目標を意識しているでしょうか。
非常に少ないのではないか、また、ほとんど皆無に近いのではないか、と思うときがあります。

もちろん、それぞれの部門の目標や、自分に与えられた目標は考えているでしょう。
たとえば、営業部門の社員なら、今月の売上高目標はいくらか、製造部門の社員なら、今月の工数当たり生産額はいくらか、また、購買部門の社員なら、今月のコストダウン金額はいくらかなどです。
しかしながら、それらを総合した会社の目標(たとえば利益額や利益率)となると、「それは自分の目標ではなく、会社の目標だよ、社長の目標だよ」になります。
組織の一部を担当している社員だから仕方がない、という考え方もありますが、それでは、会社目標は達成できないことになります。
なぜなら、利益を出すという会社目標と、各部門の目標には、それぞれ「排他性」があるのです。
たとえば、営業部門の目標達成の行動は、製造部門の目標達成にマイナスに働くことがあります。
営業部門は、売上目標を達成するために、どんどんと受注しようとします。
それを製造部門がこなしていけばよいのですが、日々の生産能力や生産計画を無視した受注では、生産性はがたんと落ち、納期遅れが多発します。
また、品質不良やクレームも発生しやすくなり、製造部門の目標達成は困難になります。
同じように、製造部門の目標達成の行動は、購買部門の目標達成にマイナスに働くことがあります。
製造部門は、工数生産性を高めるという、自部門の目標を達成するために、よい材料やよい外注を使って、加工工程を簡略化したり検査工程を省こうとします。
その結果、購買部門の原価低減目標は達成されにくくなります。

これが、俗にいう「セクショナリズム(なわばり根性)」ですが、このような不合理が発生しないように、会社目標を常に頭に入れて、自部門の目標を位置付けること、すなわち、会社目標の徹底が必要です。
そのためには、書類などに書く自部門の目標の上には、必ず、会社目標を明記するようにし、また、会議や朝礼のたびに会社目標の強調を行います。
そうして、会社目標が部門目標より優先すること、自部門の目標達成の行動が、他部門の目標達成のマイナス要因にならないようにすることを教えます。

また、会社目標の徹底を行う場合に、「情報の上手な流通」は欠かせません。
ある部門の社員は、他の部門の目標や、その実施内容、そして達成状況などを知らないことが多いのです。
だから、身近な、自分たちの目標だけに目が行きがちになります。
そこで、先ほどのように、会議や朝礼を利用して会社目標の徹底を行うとともに、パソコンを使って、会社の目標と実績、また、各部門の目標と実績や実施状況を、リアルタイムで見ることができるようにします。
ここでは、各部門の情報を、Q(品質)・C(原価)・D(納期)別に、集約して表示するとよいでしょう。
たとえば、Q(品質)では、顧客からのクレーム件数、検査工程での不良発見状況、外注購入部品や材料などの不良実績、不良損失金額や各部門の品質に関する改善の推進状況などです。
また、C(原価)の中の材料費では、材料費比率、不良による損失金額、材料在庫、コストダウン実績など、人件費では、部門別の人件費や生産性、経費では、外注費やエネルギー費などです。
もちろん、全社員がこれらの数字を読めるようにするために、表現方法の工夫とともに、パソコンの使い方や数字が意味する内容の教育が必要です。

このようにして、各部門の活動状況や実績がわかるようになると、自部門だけの目標へのこだわりが薄れてきて、会社目標を達成するための自部門の目標であることが理解できるようになります。
自部門の目標さえ達成できればよい、そのために、他部門の目標達成を無視するように動くような、セクショナリズムというムダな力を発生させず、そのエネルギーを、会社目標の達成に向けるための工夫は非常に大切です。



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